テキストサイズ

こじらせた初恋

第12章 それは突然

翔 side







翔「勘違い?」



智「俺が悪いんだけど。避けてたから。何年も会ってないからそれで勘違いしたんだよ」



翔「…」



智「俺がまた避けるんじゃないかって思ってるんじゃない?その不安を恋心と勘違いしたんだよ。安心してよ。俺もうどこにも行かないから」




俺に笑顔を向けてきた。



その顔は悲しみと切なさを含んでいた。









何言ってるんだよ。



勘違いなワケないだろ。



簡単にあなたへの好意を受け入れたワケじゃないよ。



ちゃんと考えたよ。



何日も何日も。



性別を越えて人を好きになったことなんてなかったから。



だから大事にしてきたんだ。



俺のこの気持ちも、智の気持ちも。




もちろん俺のことそういう意味で好きじゃないかもしれない。



いつか俺の気持ちを伝える時が来るかもしれない。



でもこんな。



こんな風に無かったことのようにされる謂れは無い。












あ。








下唇を噛んだ。




あれは何か言いたいことを我慢してる顔だ。







その顔を見て俺の中の何かがキレた。








智はカーテンを指で少し開けて外を眺めていた。



その美しさは妖艶さを纏っていた。





智「…それに俺男だし…ムグッ」







そのまま、また何かつまらないことを言おうとしたから、智の口を手で押さえた。



翔「……もういいから」



智は驚いて見開いた目を向けてきた。



翔「もう……何も言わなくていいよ」







ストーリーメニュー

TOPTOPへ