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こじらせた初恋

第2章 再会

翔 side




智「さては翔くんもいないな?俺に先越されたと思ったんでしょ~」


先越されたとかそういうことじゃなくて……



だって智に彼女がいたことなんて無いから。


むしろ彼女のいる智なんて想像できなかった。


でもいつか智にも彼女ができる。


昔から見ているから気づかなかったが、智はだんだんキレイになっている。


男ならカッコイイと言った方がいいのだろうが、智にはキレイという言葉の方が合ってる。


丸い瞳にプルプルした唇。のびた鼻筋にキレイな髪。


中性的なその容姿に年々目が釘付けになっている。


単純に。


彼女できたら嫌だな、と思ってしまった。





ひとしきり話すと、智はカバンから教科書を取り出しノートを開いた。


これから本当に勉強するらしい。


背中が早く帰れと言っているような気がするが、猫背な背中に吸い寄せられる。


智を近くで見たのは久しぶりだった。


キレイなうなじだなぁとながめていた。


智「なっ!なに?!!」


急に大きな声で振り返った智。


自分のうなじを抑えながら、瞳を揺らす。


俺は無意識に智のうなじを触っていた。


智の声に手をすぐ引っ込めた。


そんなに嫌がらなくてもいいじゃないかと思いながら、すごすごと荷物を持って帰った。


大学の間、智に会うことはなかった。




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