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こじらせた初恋

第12章 それは突然

智 side







俺は自分の拳をぎゅっと握った。



この場を切り抜けないと、また友達に戻らないと。





俺達は終わってしまう。





翔くんの言葉ではなく、自分の気持ちを飲み込んだ。








智「俺も翔くんが好きだよ」



あくまでも友達としての意味で、ね。



笑顔を向けるとイラついた態度で俺の腕を握った。




翔「そういう意味じゃないって!」




次の瞬間引き寄せられてキスされそうになった。



俺は自分の腕に力を込めて翔くんから逃げ出した。



立ち上がって窓際へ逃げた。



俺を呼ぶ翔くんの声が外の車の音にかき消されて、もう聞こえることは無かった。








翔くん…



俺達両想いだよ。



そう言って翔くんの胸に飛び込んでしまいたかった。



ずっと好きだったって泣き叫びたかった。



想定してなかった幸せな未来に自ら走り出したかった。




でも…








智「俺を好きなんて勘違いじゃない?」



何言ってるんだよ。



智「俺が悪いんだけど。避けてたから。何年も会ってないからそれで勘違いしたんだよ」



俺も翔くんが好きだって言えばいいいんだよ。



智「俺がまた避けるんじゃないかって思ってるんじゃない?その不安を恋心と勘違いしたんだよ。安心してよ。俺もうどこにも行かないから」



ごめん翔くん。



俺が臆病者だから。



だからわかって…





智「…それに俺男だし…ムグッ」







言葉をつなげようとすると、翔くんに手で口を抑えられた。



翔「……もういいから」



俺の言ったことを理解した訳じゃない。



翔「もう……何も言わなくていいよ」



言葉は優しいのに、その目はギラギラと怒りで燃えたぎっていた。




俺の言葉をもう聞きたくなかったんだ。







翔くんは手を口元から話すと噛みつくよくなキスをした。








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