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こじらせた初恋

第13章 これでよかったんだ

智 side







真冬の海は寒かった。



風も吹いて寒さに追い打ちをかけた。



まだ冷めない俺の気持ちを弱めてくれるようだった。









座ろうかと促され、俺が座った少し斜め前にニノが座った。



ニ「いいよ。ここなら誰も見てない」



なんで横並びじゃなくて少し前に座るんだろう。



不思議に思ってる俺にニノが声をかける。



ニ「海の潮が目に染みても大丈夫だよ。誰からも見えない」



その瞬間、目頭が熱くなった。





ニノはなんて優しいんだろう。



すごく心配してくれてるのに何も聞かないでいてくれた。



俺が泣いてもいいように、泣けるように海を選んでくれた。



泣き顔を見ないよう少し前に座ってくれた。






頬に涙が伝った。







翔くんに押し倒されて、翔くんと決別したあの日から。



俺は泣くことができなかった。



仕事して何も考えないようにしてた。



あの時俺が選んだ先を思い巡らさないようにしてた。



だって認めたら。






翔くんが俺の中で終わっちゃう。









ニノはそれに気づいてたんだ。



俺がちゃんと泣けてないことに。








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