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こじらせた初恋

第13章 これでよかったんだ

智 side







涙がとめどなく溢れてきた。



1度流れ始めると止める術など無い程、涙は止まらなかった。









翔くん。



俺はあなたが好きだった。



気付いたのは高校の時から。



もしかしたらもっと前から好きだったのかもね。



自分の気持ちを受け止められなくて何度も頭の中で否定しても、思い浮かぶのは翔くんの笑顔。



子供の時から爽やかだったけど、年を重ねる毎にさらに拍車をかけるように爽やか度が増していった。



今はおじさんって言われる年齢に近いけど、その笑顔は変わることは無かった。







翔くんを好きだと気付いたのは女子と喋っている時。



女子はいつまでも恋バナが好きだ。



流れで恋バナを聞いていた。





好きというのはドキドキして苦しくて切なくて嬉しい。



何か楽しいことがあったらその人に報告したくなる。



何でもない時にその人の顔が思い浮かぶ。



それが好きなのだと。







認めざるを得なかった。



俺の中で何度も打ち消してきた気持ち。



翔くんが好きなのだと。



気が付いたら翔くんを目で追い、気が付いたら翔くんのことを考えていた。







気付いてしまったその気持ちは形になってむくむくと大きくなり、自分では止めることができなくなっていた。



心が暴走する前に離れてしまおう、そう思った。







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