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こじらせた初恋

第13章 これでよかったんだ

智 side







避け始めてすぐに翔くんは気づいた。



翔「俺何かした?」



事あるごとに翔くんは聞いてきた。



なんでもないよ、といつもの笑顔で答える。



それで翔くんが納得したことなんてないけど。



なんでもないことはなかった、もちろん。



よく一緒に帰ってたのにさっさと帰ったり、なかなか帰れず待っててくれる翔くんに先に帰るよう促した。



勉強もよく一緒にしてたけど、お互い教え合う必要なんて無かったから1人で勉強してた。







理由を翔くんが好きだからとは言えなかった。



言えば困らせることはわかってたから。





恋は切なくて苦しくて嬉しい。



俺には嬉しさなんて無かった。





笑顔を向けられても、優しくされてもつらいだけだった。



だってそれは俺の物にならない。



俺だけにくれる物じゃない。





だた翔くんは目線だけくれた。



教室にいるときも体育で着替えてるときも目線を感じた。



授業で面白い発言をして教室内が笑いで包まれたとき、俺も笑っちゃってそっちを見たとき。



顔を上げたら翔くんがこちらを見ていた。



真顔で。






ビックリした。



パッとすぐに目を反らした。



すぐに後悔した。



露骨だったかな。



いつから見てたんだろ。



ずっと見てたのかな。



もしかしていつも見てるのかな。




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