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こじらせた初恋

第14章 冬日和の僕ら

翔 side







ニ「…座ったらどうです?」



店員は既にいなくなり俺は個室に入った所で立ち尽くしていた。



翔「…俺、帰るわ」



二宮がいるなんて聞いてない。



コイツがいると自分のした恥ずかしいことが思い出されて胸の奥がキュッとなるんだ。



キュッてなんだ。



ズキの間違いだ。



キュって惚れてるみたいじゃん。








ニ「帰るのはどうですかね」



踵を返しカーテンに手をかけて帰ろうとしている俺の背中に声をかけてきた。



翔「あなたと会いたくなかったよ」



ニ「相葉さん。悲しみますよ」



一歩進もうとした足が止まった。



ニ「せっかく寒い中待ってた人が勝手に帰ってたら悲しむんじゃないんですかね」



翔「…寒い中待ってた?」



そんな。



相葉ちゃん外回りからちょうど帰ってきたって言ってたのに。



ニ「あんないい人を悲しませるひどい同僚なんですかね。おたくは」



あれは俺に気を遣わせない嘘だったのか。



今年一番の冷え込みの中、俺を待っててくれたのか。



そこまでして飲みたかったのか。



二宮と会わせたかったのか。







俺はマイペースに酒を飲む男を睨みつけた。



ニ「どうぞ」



目の前の席へ促してきた。



俺はそこに乱暴に座った。



どんな理由にせよ、待ってくれてた相葉ちゃんの為だ。



それだけだ。







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