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こじらせた初恋

第15章 再会がもたらしたもの

翔 side







智「傷ついてないよ」



翔「え?」



智はまさかな事を言ってきた。




智「…………あの時、怖くなかったと言えば嘘になるけど。傷ついてなんかない」



翔「そんな。…俺なんかに気を遣わなくていいんだ」



俺が気にしないように言ってくれてるんだろ?



智は首を横に振った。



智「本当だよ。俺は無傷。それに…………あれは俺が悪いから」



翔「何言ってるんだ。あなたが悪いと思うことなんてない!」



誰の目からしても俺が悪いことは一目瞭然だ。



智「俺が思わせぶりだったでしょ?それに翔くんの気持ちを否定した……」



翔「……」



智「翔くんの気持ちも考えずに適当なことばかり言った。だから俺が悪い」



智は俺の目をしっかり見て言ってくれた。



俺が気持ちを告白した時は目を反らしてばかりだったのに。



智の本当の気持ち。



掴めなかったそれが、今手の中にやっと少しだけ収まったような気がする。



形として俺に届くその思いにさらに申し訳ないという気持ちになる。



翔「そんなこと考えてたの?」



智「……」



翔「そんなことで自分が傷つけたと思ってたの?」



智は傷つけられてないって。そして逆に俺を傷つけたと思ってたなんて。



考えてもなかった。



智はそんなことで思い悩んでるなんて。



俺はいつも自分のことばかり。



智が俺の気持ちなんて考えてないってムカついて。



智に体をぶつけて。



あんなことしなけりゃ一緒にいられたのにとか。







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