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こじらせた初恋

第15章 再会がもたらしたもの

翔 side







下を向いて俯く俺の視界が突然暗くなった。



なんだと手を出すと、そこには冷えた智の手と布状のようなもの。



智の方を見るとボヤっとした視界でよく見えない。







智「泣かないで翔くん」







俺は泣いていた。



それに気づいた智がハンカチを差し出してくれたんだ。



俺の目元にハンカチをあててくれた。







あ。泣いてんだ、俺。



泣くなんて久しぶりだな、とぼんやり考えながら、涙を拭いてくれる智に身を預けた。



智「ばかだなあ。翔くんてば」



ふふと笑う智の声にまた涙がこみ上げてくる。



バカとはなんだバカとは。



智「翔くんこそ、そんなこと気に病んでたの?俺のこと思って?残念ながら俺は大丈夫だし元気なんだなぁ」



元気、という部分は嘘じゃん。



めちゃくちゃ痩せてるじゃん。



智「だからさ。俺のことなんて忘れて幸せになってよ」



どんな顔をして言っているのか。



智「翔くんは絶対幸せになれるから」



顔は見ることができなかった。










抱きしめたい。



涙を拭いてくれてる智を。



きっと手を伸ばせば抵抗することなく抱きしめさせてくれるだろう。



触ってもいいかと聞くと、いいよと言って頬に手を添えると、冷たいよと言ってくれるだろう。



智は優しいから。



俺を友達として大事にしてくれるだろう。



でもダメなんだ。



俺のこの気持ちがある限り。



もう智に触ることができないんだ。







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