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こじらせた初恋

第15章 再会がもたらしたもの

翔 side







あ、離れてしまう。



最後なのに。



智と触れ合えるのは。







智「泣き止んだみたいだね」



智は俺の顔から手をどけた。



あっさりと俺から離れた智に胸を締め付けられる。






まだこんなにも。



智が好きだ。



こんなにも胸を焦がす恋を、俺は知らない。









翔「人を泣き虫みたいに」



智「実際今泣いてたじゃん」



翔「泣いてない!」



智「泣いてた!」



翔「泣いたことない!」



智「泣いてた!」



お互い睨み合って、ぶはっと笑い合った。



はははと笑う声が寒空の中に吸い込まれていく。







智「帰ろうか」



前を向いて智は歩き出す。



俺はそれに着いて行く。



智の後ろ姿を目に焼き付けては足元に目線を落とす。








智「あ!…翔くん見て!」



智の方を見ると上を見ていたので、俺の空を見上げた。



そこには冬を彩るものが降り注ぐ。








翔「……雪だ!」



白い粒がハラハラと空から落ちてきていた。



あまり降らない雪に興奮しつつも、そりゃ寒いわなーとか考えてた。



智の方を見ると頭に肩にと雪が積もってきていた。



きっと俺にも雪が同じくらい降りかかってる。



でも、お互いにそれを掃ってあげることはしなかった。







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