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こじらせた初恋

第3章 決意

智 side







ピンポーン



「きた!翔くんさすが早いわね!小学生の時リレーの選手だったものね!」



興奮する母に適当なことを言って電話を切った。



ゆくりと玄関に向かって歩き、そろりとドアスコープを覗いた。



翔くんだ…



大人になったな…



やっぱりカッコイイな…



急に来られた緊張感より、久しぶりに会える嬉しさが勝った。



智「はい」



ドアを開けるとかなり戸惑った翔くんの顔があった。



智「翔くん?」



努めて明るく、受け入れるような調子の声を出した。



翔くんは少しホッとしたような顔をしてた。



今まで避けててごめんね…



イライラしたよね…



智「また昔みたいに……会わない?」



もっと怒ってるかと思ってたけど、翔くんはあっさり俺の提案を飲んでくれた。



しかも嬉しそうに……



好きな人である前に、大事な友達。



その友達をたくさん傷つけてしまったな。



智「仲直り」



そう言って右手を差し出した。



翔くんも気づいてくれて、俺たちは固い握手を交わした。



また前のように戻れる。



俺は本気でそう思ってた。



まさか俺たちに大きな変化が起きるなんて…



全く考えていなかった…





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