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こじらせた初恋

第16章 あれから

智 side







智「素敵なお母さんだね」



頭でわかっていても、娘の死に関わった人を親だったらそんな風に思えないよ。



なんて心が広いんだろう。



ニノの背中を押してくれてる。



ニノの明日を示してくれる。







ニ「そっくりなの。俺が惚れた彼女にそっくり」



とめどなく出る涙をおしぼりでグイグイ拭いてる。





ニ「彼女のお母さんもさ。わかってたんだよ。俺が相葉さんに惹かれてること。それに俺がブレーキかけてることも」



智「そうだね」



ニ「長い間ありがとう。幸せになってね。私あなたのこと息子だと思ってるのよ。母親は子供の幸せしか願ってないわ。ってさ。俺なんかにさ」



またポタポタと涙が落ちる。



そうだよ。



ニノが幸せになったら彼女も喜ぶよ。






俺は席を移動してニノの隣に座った。



頭を撫でてやると俺に抱き着いてきた。



ニ「俺なんかを……俺なんかを……息子だって!!あの人たちの人生台無しにした俺を……息子だって」



俺の服に顔を埋めてるから、胸元からくぐもった声がする。



彼女の優しい母親。



その言葉は本音だろう。



ニノが好きになった人だ。



ニノの幸せが彼女の両親の願いだ。



恋人ができたと聞いたら手を叩いて喜んでくれるだろう。



本当にいい人たちに出会ったんだな。








ニノの背中に手を回し頭を撫でてやる。



ポンポンと背中を叩いてやる。



いつかの、俺がされたようにニノを抱きしめる。







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