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こじらせた初恋

第17章 つなぐ

翔 side






俺は気づいたら智を壁に押し付けて両手を縫い付けていた。



その唇に吸い込まれるように顔を近づける。






結局邪魔が入ってキスに至らなかったけど。



後から聞いた話だと、一緒に帰った女の子に抱き着かれただけらしい。



背が同じくらいだったからキスしたように見えたようだった。





バカなことした。



とんでもなくやばいことした。



少し前から智に避けられていたし、キスに興味があったし、だからちょっとムキになっちゃっただけなんだと思ってた。



あの時は。



でも俺、あの時から智のこと好きだったんじゃないかな。



キスしたと噂がたった女の子に嫉妬したんじゃないかな。



そうじゃないと説明がつかない。



思春期だからって男にキスとかありえないだろ。






だったらいつから智のこと好きだったんだろう。



いつから智をそんな目で見てたんだろ。






そんな計算したって意味ないんだけど。



智に伝えることができるワケじゃないし。






好きって。



なんでこんなに無くならないんだろう。



自然に忘れていくもんだと思ってた。



だけど。



俺の中から消えないんだ。



智の顔が。



その声が。



その温度が。



この気持ちが。



忘れることができないんだ。






きっと心が拒否してる。



脳がシャットアウトしてる。



智を忘れることを。







智。



今、どんな顔してる?



俺がキスしたその唇は、もう誰かのものになってるの?







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