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こじらせた初恋

第17章 つなぐ

智 side







久しぶりの翔くんは変わってなかった。



寒いから着込んでて丸っこいけど。



でもクリクリした目に、俺にはないぽってりとした唇。



俺の名前を呼ぶその声も変わってない。



さっきまでの緊張はどこへやら。



翔くんに会えて嬉しくてたまらない。



嬉しくてさっきからニヤニヤしちゃう。









でも翔くんはさっきから困った顔をしてる。



声をかけても戸惑うばかりで返事はない。



そうだよね。



今までなんの連絡もして来なかったのに、急に家まで来て驚くよね。







智「こっち来て座ったら?……ここ俺の部屋じゃないんだけど」



笑ってみても特に反応は無かった。







翔くんはため息を一つ吐くとコートを脱ぎだした。








ため息。



そうだよね。



急に迷惑だよね。



俺ってホント自分のことしか考えてないんだな。







でも。



ここで帰るわけにはいかない。



翔くんに会うのが目的じゃない。



告白しに来たんだ。



応援団の見張り役だってさっきから俺の携帯を鳴らしてくれてる。







俺!



当たって砕けろ!








足を一歩一歩と前に出す。



あと少しの所で駆け出し、俺は翔くんの背中に抱き着いた。



外で冷えたその体を抱きしめる。



前ここに来た時、翔くんに抱きしめられたけど、俺は勇気が無くて抱きしめ返すことができなかったんだ。



今度はあの時の分まで翔くんを抱きしめた。






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