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こじらせた初恋

第17章 つなぐ

智 side






翔くんからは何も反応が無い。



というより固まっているような。



全く動かない。



ビックリしてくれてる?



嫌な気持ちになってたら悲しいな。







体にドクドクという心臓の音が響く。



その音は俺のものなのか、翔くんのものなのか。



同じ早さでリズムを刻むことができてるのか。









智「………………………しょう、くん」



その名前を呼ぶことができるのはあと何回だろうか。



愛しいその名前を呼ぶ俺の声が部屋に響く。








ギュッと抱き着いたその体はニノよりも一回り大きかった。



この人に抱きしめられた時にはわからなかった。



いつも見上げる俺よりずっと背が高いと思っていたけど、翔くんの後頭部が目の前にあった。



このくらいの差しかないのかと初めて気づいた。



そんなことも嬉しかったり。切なかったり。









智「俺……今さらって思うかもしれないけど」



声が全然出ない。



掠れる声で、想いよ届けと願う。









智「……俺」



はあと深呼吸する。




絶対に言わないと思っていた言葉。



この言葉を言うのは二度目。



それはこの人が寝ぼけてキスをしてきた時。



俺のことが好きだと言ったその顔に、俺も好きだよと言った。



それは届かない言葉だったけど。






その言葉を今度は届けるように言う。



この人に今までの想いが届くようにと。






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