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こじらせた初恋

第5章 同僚

翔 side







智「ところで翔くん。そやってスーツの人と一緒にいてると、ちゃんと仕事できる人みたいだね」



俺のスーツを直しながら、ふにゃんと笑った。



酔ってるせいか、舌足らずだ。



智はいつも脈絡が無い。



それに戸惑うこともあるけど、今回ばかりは助かった。



翔「仕事できそうってなんだよ。いつも仕事してるよ」





そういえば、智はなんでこんなとこにいるんだ、今さらだけど。



翔「智、ひとり?」



そう聞くと智が、あっ!って顔で後ろを振り返った。



その目線の先には、片手でケータイをいじり、片手に吸いかけのタバコを持っている男がいた。



智に手を上げ、俺と目が合うとペコリと会釈してきた。



俺もつられて、ペコリとする。



誰?って顔で智を見る。



智「今日、会社の飲み会だったんだ。これから2次会行こうって時に、翔くんたち見つけたんだよ」



それで俺の背中に激突したってワケか…



智「ニノのことは気にしないで。人見知りだから」



あーゆー人間だから、とフォローしてきた。



ニノ?その名前は智からよく聞いていた。



智とは同期で、部署は違えど、仕事ができるってのは智の耳まで届いてると。自慢の同期なんだと。



俺は智から、その「ニノ」の名前が出る度、胸がザワザワしていた。



だって、智がただ単に尊敬してるならともかく、ニノの方も、智のことを好いている。智の話から、それが顕著に伝わってくる。



そしてその、「ニノ」が目の前にいる。



頭で想像しているのと、眼前で確認するのでは意味が違った。



胸のざわざわザワザワが大きく感じる。



確か、正確には「ニノミヤ」と言ったはず。



智は、そろそろ行かないと、と俺に手を振った。



相葉ちゃんと松潤に丁寧にお辞儀をして、翔くんをよろしく、と。



松潤も、それにまたつられて、お辞儀をした。



相葉ちゃんは、智に手を振ってる。




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