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こじらせた初恋

第8章 君と僕にあるもの

二宮 side







智「俺は翔くんを好きなままでいいのかな…」



ポロポロ涙をこぼしだす。



キレイな目から出てくるその涙の粒は、宝石にも負けない輝きを見せていた。



その涙を拭い、小さな体を抱きしめてやった。



肩に宝石の涙を感じながら、久々の人の温もりを味わっていた。



大野さんを抱きしめながら、自分が救われているような気がした。






似ている俺たちは、恋愛をうまくやれなかった。



一生忘れない恋をしながら、もがいてもがいてその海底から這い出る術を知らないでいた。



簡単に口にはできない思いを体のなかで燻り続けるこの心を捨ててしまいたいと思いながら大事にしてしまうのだ。






そのあとすぐ、俺らができていると噂になった。



居酒屋でのことを同じ会社の人に目撃されたようだった。



まぁ、他人の評価なんて気にならない俺たちなんで、すぐにそんな噂はおさまったけどね。







その後、俺に言われたからか、大野さんは例の幼馴染との友情を復活させた。



久々に会った会社の飲み会で言われた。



幼馴染の話をする大野さんは、俺が見たことがない顔で笑った。



俺も嬉しくなった。



俺の幸せを願う人の幸せは、俺にとっても幸せだった。



少しでもこの幸せが長く続くことを祈る。




2人で気持ちよくなって、会社の人とカラオケに行くことにした。



そうやって2人して2次会まで行くのは久しぶりだった。








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