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こじらせた初恋

第2章 再会

智 side





そしたらすぐに実家にチクりやがった。



激怒した母親がおかずを翔くんに持たせるようになった。



卵焼き。肉じゃが。ハンバーグ。俺の好きなポテトサラダ。



あまりかぶらないように2,3種類のおかずが毎回来るようになった。



今日のおかずはなんだろう…とビニール袋の中を覗く。



コロッケ。ひじき。それにやっぱりポテトサラダ。



グ~



おかずを見ただけでお腹すいてきた。



翔「ははは。腹の音めっちゃでかいじゃん!」



そんなおかずを翔くんは週に2回くらい来てくれる。



俺の腹の音を聞いて爆笑してる。



智「翔くんも、……一緒に食べる?」



ためらいがちに誘うと、食べてきたから、と断られた。



翔「もう行かなきゃ」



腕時計を見ながら、慌てる様子も無く靴を履きだした。



じゃあと手を振りながら翔くんは仕事に行った。








ふーっと息を吐いた。



翔くんが来ることなんていつものことなのに。



胸の高鳴りが鳴りやまない。








男が好きだと気付いたのは高校の時。



女性に興味が無かった中学では、高校生になればそれが治るんだと思ってた。



治るはずもない。



だって病気じゃないんだから。



高校生になって、周りは彼女を作りだし、女の子はやわらかいだの、セックスはどうだの、実に女の子の体が現実を帯びてきた。



その話に興味が無いワケではなかったあが、気になるのは男の方。



どうやって触って、どうやって動くのか……



どんな体で、どんな形なのか……



そうやって考えるうちに、ああ、俺は男が好きなんだ、と気づいた。



むしろ気づけて良かったと思った。



だって認めることによっていろんなことを諦められる。



臆病者の俺は恋人を作る勇気が無かった。



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