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こじらせた初恋

第9章 誤解

二宮 side







ニ「素敵な夜が、誰かさんのおかげで空気悪くなりましたけどね」



戸惑いの顔から一転、俺を睨みつけてきた。



その顔は昨夜と一緒だった。



嫉妬を含んだ鋭い目つき。



俺も幼馴染を睨んだ。睨まれてばかりじゃ割に合わない。



幼馴染はゴクリと唾を飲み込んだ。



息を吸い、意を決したように言った。



翔「智と付き合ってるのか?」



さとし…。



あ、大野さんの名前か…。



昨日も呼んでたな。



その思考に至るまでに、俺の怒りもふつふつと煮えたぎってきた。



イライラしてきた。



ニ「だったら何?」



幼馴染が目を見開いた。



なんで俺がこんなに敵意を剥き出しにされなきゃいけない。



翔「なっ!お前。相葉ちゃんはどうしたんだよ?」



思わずぷぷっっと笑ってしまった。



相葉ちゃんて。



大の男からちゃん付けの名前が出てきたらうけるな。



そういえば大野さんもそう呼んでたな。



この幼馴染がそう呼ぶからだと。




翔「何笑ってんだよ」



ニ「うるさいよ」



そんなことで俺の怒りも治まるはずもなく。



翔「本当に付き合ってんのか?」




ニ「あんたには関係ないだろ」





その瞬間。



幼馴染は俺の胸倉を掴んできた。



俺も掴み返し、至近距離で睨み合う。




この人が俺を怒る資格なんてないだろ。



大野さんあんなに泣いてたんだぞ。



昨日はきっと寝てない。



今だって、あんたのことばっかり考えてる。



翔「うわっ!」



俺は掴まれた腕を思いっきり左へ投げた。



気を抜いていたのか、いとも簡単に床へ転がった。



ニ「あんたにそう言う資格あんのかよ?ああ!」



大野さん泣かせといて、と床に向かって思いっきり言い放つと、幼馴染は大野さんの家の反対方向へ走って行った。



あんな奴のどこがいんだよ。



ねぇ、大野さん。








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