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こじらせた初恋

第9章 誤解

翔 side







ズンズンと重低音が体に響く。



松潤が連れてきてくれたのは、最近できた大きいクラブ。



今日は知り合いがDJをするのだそうだ。



だからちょうど来るタイミングで俺が誘ったって訳だ。





俺らは丸い小さなテーブルの前で立ってビールを飲んでいた。



何度もビールを取りに行っては飲んでいると、あまりに飲むので松潤に止められた。



松潤は俺の方を見て何かを言ってるが、うるさすぎてそれもわからない。



耳を松潤の方に近づける。



潤「何かあったの?」



耳を近づけると思ったより大きな声が頭に響いた。



グルグルする頭でその言葉の意味を咀嚼する。



心配そうな松潤を見ながら、何もないよと手を顔の前で左右に振った。



そう、と口で表すと松潤はそれ以上何も聞かなかった。




何も考えたくなかった。



うるさい音で頭の中を埋め尽くしたかった。



酒で心を空っぽにしたかった。



ふとした時に思い浮かぶ2人の姿を消してしまいたかった。




向こうから女の子2人組が来た。



「何してるの?」




口を俺の耳元に寄せてくる。



かわいいな。



肩も足も出してかなり露出してる。



松潤の方を見ると、別の女の子と耳と口を寄せ合い交互にしゃべってる。



時折2人で笑っていた。



そうしていると初めて会ったのに親密に見えた。



ここはそういう状態になる場所だ。



  


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