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こじらせた初恋

第10章 許された場所

智 side







智「わっ!」



そのままぷにぷにしてたら、その腕を引っ張られた。



横向きになった翔くんと向き合う形になった。



翔くんの目がうっすらと開く。



智「起きた?」



問いかけに答えることなくゆっくりと顔を近づけてきた。



え?と思った瞬間に、唇に柔らかい感触。



キスされてる…



俺、翔くんとキス、してる…



離れた翔くんは俺を見てニッコリ笑った。



翔「智。好きだよ」



そしてまたまぶたは閉じられ、再び眠りについていった。






は?



今なにが起こったの?



キスされた?



キスされたよね?




信じられない。



時間にして1秒。



その1秒が永遠にも感じた。



唇にまだ温かさが残ってる。




俺のファーストキス。



思わぬ所で奪われちゃった。




目頭が熱くなったと思ったら、視界がぼやけてきた。



あ。俺、泣いてる。



なんだろう。



嬉しいんだ。



予期せぬことだったけど、夢にまで見た、いや、夢を描くことしか許されなかった出来事が起きてしまった。







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