テキストサイズ

こじらせた初恋

第10章 許された場所

智 side






翔くんにキスされた。



宇宙から見たらきっと些細な事。



そんな些細な事が嬉しい、すごく。



嬉しすぎる。



ああ。



今だったら死んでもいい。



この幸せのまま死にたい。



もしこの先翔くんと会えることができなくても、ちゃんと生きていける。



このキスがあれば。



この思い出があれば生きていける。



俺の幸せは絶頂だ。



自分の唇をウニウニと触ってみる。




初めてのキスは少しお酒の匂いがした。



お酒の匂いと翔くんの匂い。



それが心地良くて目の前の出来事をゆらゆらと舞い上げていく。





智「俺も好きだよ」



聞こえるはずのない相手に、言うはずのない言葉を投げかける。



言葉にすると気持ちがさらに昂る。



好きという感情が形になって俺の体を侵食する。



心を奪われて俺の体を愛に染める。









まさか、この絶頂が本当の絶頂で、このキスを思い出に翔くんと会えなくなる日が来るなんて。



この時の俺は本気で考えてなかったんだ…









ストーリーメニュー

TOPTOPへ