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こじらせた初恋

第10章 許された場所

翔 side







翔「うわーすげ」



シャワーから出ると智が朝食を作って待っていた。



トーストにスクランブルエッグ。サラダにコーヒー。



うまそうだ。



翔「今の間に作ったの?」



智「まさか。できたから翔くん起こそうと思ったら一緒に寝ちゃった」



ふふふ、と歯を見せて笑う智は天使みたいに輝いていた。



白いハイネックを着ていて、それがより天使のようだった。



翔「だからあそこで寝てたのか」




俺の罪悪感を減らしてくれるような気がした。






2人で朝食を食べるなんて初めてだな。



すごい新鮮な気持ちだ。



ん?



翔「そういやなんで俺ここにいるんだ?」



ぶっと智がコーヒーを吹いた。



智「今さら?」



口元をふきふきしてる。



翔「おれいつ来たの?店を出たところまでは覚えてるんだけど」



『店』と言ったのは、クラブだと智の心象が悪い気がするし、あんなことがあったのを無かったことにしたかった。



智「夜中の2時にピポピポピポピンポーーーーンって来襲したんだよ」



着いた途端寝た俺は全く起きず、布団まで運んで、スーツは皺になるといけないから脱がせてくれたらしい。



翔「…」



うわー!嘘だろ。



俺何してんだ。



智「覚えてないの?」



翔「まっっっっっったくっ!」



智「さとしぃ。開けてくれぇ。って寂しそうな声出してたよ」



俺の顔を覗き込むように智は首を傾げた。




翔「とんだご迷惑を。お詫びの言葉もございません」



机に手をついて謝った。最低な上に好きな奴にスーパー迷惑かけてんじゃねーか。




智「…よろしい。…なーんて全然大丈夫だよ」



ニッコリ笑う智に俺は笑い返すことができなかった。



無くなりかけてた罪悪感がまたボタボタと落ちてきていた。










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