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こじらせた初恋

第10章 許された場所

翔 side







てかさ。智なんで?



なんでそれ普通に言えるの?



普通に考えたら愛の告白じゃん。



それをなんでそんな簡単に言えるの?





智「やっぱ覚えてないんだね」



覚えてるわけないだろ。



来たことも覚えてないんだから。






でもやっぱりというか…



智は俺のことなんとも思ってないんだな。



俺に何か思う所があればそんな話しないでしょ。



しかも平然と。笑い話みたいに。



傷ついてもいないようだし。



ショックだ。



同じ気持ちだなんて思ってなかったけど、こうしてはっきりと言われてはショックを隠せない。



智の中で俺は幼馴染で終わってるんだ。




翔「……ごめんな」



届きそうにない声が出た。



届いてほしいのに全く届かない俺の気持ちみたいに。



翔「…覚えてないとはいえ、キスなんかして…好きとかも…言っちゃって…」






智「気にしてないよ。寝ぼけてたんでしょ?」




気にしてない?



俺とのキスなんて智にとってどうってことないってこと?



好きって言ってるんだよ?



ただの好きじゃなくて『智が好き』って言ってたんだよね?



それって智の人生にとって気にも止めない出来事ってこと?







智「それより早く食べて?せっかく翔くんに作ったんだから!」



それより?俺とキスしたことなんかより?



智の一つ一つの言葉が刃のように俺の心を傷つける。




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