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世界で1番好きな人

第11章 溢れる思い

飯尾さんとのご飯から1ヶ月が過ぎた。
練習終わりにみんなで飲みにいっていた時のこと。


「ラブイズオゥバァー♪泣くな男だろう♪終わりにしよう。きりがないからぁ♪」

「ゆうまの歌うまいんやけどなんか腹立つよなー。笑」

「なにがや!おれはこの歌唱力でのぶかと結ばれたといっても過言じゃないぞ!だってのぶかはな、、」

「はいはい。その話5万回くらい聞いたわ。」

「そんなゆったか。いやでもこの話はな、」

「もーええて!笑」

エリナと声を合わせていった。

「ほんまあんたら仲ええなぁ。わたしも同学に男子ほしかったわー。」

「唯さんはも僕の歌声に惚れてしまったのですか。ですが僕にはのぶかとゆう、」

ゆうまが酔ってベラベラ喋り始めた。
めんどうなのでエリナはゆうまを蹴飛ばして話を続けた。

「なつみさんいるじゃないですか!2個1って感じめちゃありますよ!あ、そーいえばなつみさんは今日来てないんですか?」

「うんー、なつこはなんかね、体調悪いらしい!しょうた、ちょっといい?」

「え、唯さん。僕ですか?」

「うん。ちょっと。」

飲み屋の前でタバコを吸いながら唯さんと話をして。なにを言われるのか少し怖くて唯さんの顔をうまくみれなかった。

「しょうたさ、なつこのテスト資料借りてるやろ?あれ、後で返しにいってあげてくれへんかな?なつこそろそろ使うらしくて。」

「あ!忘れてました。すぐ返してきます!」

「うん!お願いね!」

「え、それだけですか?」

「そ!それだけ!あ、雨降ってきた!わたしの傘貸してあげる!はよいってき!」


唯さんの代はテスト期間ではないはずなのに、、



期待はしないようにしていた。
なつみさんへの思いには
蓋をするって決めていた。
大好きだからこそ
思いが通じない辛い日々がくると思うと
怖くて逃げ出したかった。




だけど





こんなことを考えているうちに
僕はなつみさんの家の前に立っていた。





なつみさんの家のポストに資料を入れて
後でラインすればいいだけだった



体が勝手に
いや
思いが
蓋をしていた思いが
いままさに
溢れようとしていた。



ベルを押すと、中からパジャマ姿のあなたが出てきた。


「なつみさん、、」

「え、しょうた、、?」







雨が降ってきた。
土砂降りの雨が。


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