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世界で1番好きな人

第11章 溢れる思い

雨が降る中
なつみさんと無言のまま
しばらく見つめ合っていた。


「しょうた、どしたん?」

「あのテストの資料返しにきました。体調大丈夫ですか?」

「あ、ありがと。でもこれもう使わへんで?笑 体調はなんとか大丈夫!」

「え?そーなんですか??一応風邪薬もってきました!」

「うん、だってわたしらこのテストもう終わったもん!笑 薬!ありがと。」

唯さんはなぜこんな嘘をついたのか。。



また沈黙が続く。


あなたのが顔を見ているだけで
そばにいるだけで
気持ちが溢れ出た。



「なつみさん、実は僕、、一年生のときからなつみさんのこと、、、ずっと好きでした。」

「……しょうた。。」

「ごめんなさい。僕は彼女がいるのにこんなこといって。ほんと最低です。でも絶対伝えたくて。なつみさんのこと忘れられなくて。ほんとにごめんなさい。」

もう振り返らずに
思いを伝えて帰るつもりだった。
なのに、なのに、、


「待って。ほんまはね、わたしも、、」

その続きは聞かずにいようとした。
聞かないほうがいい。
自分にそう言い聞かせたつもりだったのに
自分の汚い心がどんどん欲をかいて


気づけばあなたを抱きしめていた。


なつみさんも僕の背中に腕を回し
ひとしきりに泣いていた。



「なつみさん、、」

「しょうた、大好き。」






そこからはお互い無言のまま
雨が止むのを待っていた。
きつく抱きしめあいながら
雨が止まないでと強く願いながら
2人の時間を噛み締めた。







梅雨が明けたとゆうのに
こんなにも雨が降るなんて。





家についたころには気持ちが固まっていた。























ミカ、ごめん。













もうすぐセミが鳴き始める。

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