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「稀乃。…俺、お前のこと好きだ」
「___え?」

ヒカルさんは悲しそうに笑った。
その言葉を受け取り、理解し、飲み込む。
…目を合わせられなくて俯く。

「え……でもヒカルさん、そんな素振り無かったし…え?」
「…あぁ」
「わ、わたし彼氏いるし、それも言ったし…」
「…あぁ」
「海叶のときだって…助けてくれたし…」

じんわりと、目に涙が溜まる。

「…稀乃。俺は…今日、おまえにフラレにきたんだ」
「___えっ」
「外出して、飯食って、告って、フラれる。…予定だった」

…思ってもいなかった。ヒカルさんが、わたしのこと好きだったなんて。
…でも、わたしには雄飛がいる。

「わ、わたしには彼氏がー…」

ふと、宝条社長が思い浮かんだ。あの日抱かれたことを思い出す。
彼氏がいるんです、なんてどの口が言えるんだろ…
もう他の人と寝たあとなのに。

「…わたし、最低なんです」

ヒカルさんは黙って聞いてくれていた。

「彼氏がいるのに…引越し先で、他の人に処女奪われちゃって」
「……っ」

ヒカルさんの顔が苦しそうに歪んだ。
温かい雫が頬を伝った。