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うちの社長が酷すぎる!

第7章 環境の変化

エレベータで無理矢理イカされて、くたくたのままわたしはオフィスに向かっていた。

……というか。信じらんない!
なにあの鬼!悪魔!すけべ!!

「エレベータってなによ……ほんと…」
「?エレベータはエレベータだよ?」

ほんわかした声が聞こえて、顔を上げる。

「も、杜山さん………」
「おはよう!元気ないね、どうしたの?」

杜山さんの顔を見ると、なんだか罪悪感感じる…。
あんな鬼社長でも、杜山さんみたいな可愛い人に好かれるんだもん……

「……朝から、悪魔に会っちゃって。」
「あはは、悪魔なんて」

杜山さんは楽しそうにころころ笑う。その笑顔にきゅんきゅんしてると、またひとり反対側から歩いてきた。

「あ、稀乃!」
「せ、誠也………」

……そうだ。こいつが降りたせいであの社長が乗ってきてわたしがあんな目に…
もう責任転換してるけど、でもそうだもん!

「…なんかさっきよりやつれてね?平気?」
「…あんたが降りたせいでわたしは悪魔に会ったのよ……!」
「はぁ?意味わからん」

誠也は腕時計を見て、「あ、やべ」と言って「またな!」という声を残して去っていった。
杜山さんは、そんな誠也の後ろ姿を見つめていた。

「希崎さんと、付き合ってるの?」
「え!?違います、あいつは…元カレで。もう既婚者ですよ」

慌てて否定すると、杜山さんは少し残念そうに言った。

「あ、そうなんだ。…私、社長が好きだから…周りの可愛い女の子見るとライバル視しちゃうんだ……ごめんね」
「えっ、大丈夫ですよ!わたし、社長は確かにかっこいい…ですけど彼氏いるので!」
「あ、あ、そうなんだ!」

杜山さんは凄く嬉しそうな顔をしていた。
…わたしは、何故か胸が少し痛んだ。

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