うちの社長が酷すぎる!
第8章 突然のこと
「いや……です…」
心臓がうるさい。ヒカルは相変わらず黙ったままで、俯いているから表情が分からなかった。
「……綺麗だ」
「……っえ」
ヒカルはそう言って、やんわりと微笑んだ。
「稀乃、お前さ。彼氏じゃないやつに処女奪われたんだろ?」
「……はい」
ふと、社長との情事が頭をよぎる。
お互いを求めあった、情熱的で激しいあの日の出来事。
社長の低い声と、わたしの艶やかな声が響いた部屋。
場面場面が色鮮やかに蘇り、下半身がきゅっと熱くなった。
「じゃあ……俺にも、抱かせてくれよ」
「…っ、そういうのは…!」
「わかってる。犯された、んだよな。でも、俺はある意味仕方ねぇと思ってる」
ヒカルが言いたいことがわからなくて、次の言葉を待つ。
ごくり、と生唾を飲み込んだ。