うちの社長が酷すぎる!
第9章 波乱
杜山さんの涙が止まった頃、わたしと杜山さんは
中庭の噴水にいた。
…会話は無い。
わたしを見る好奇の目もだんだん薄れてきた頃合で、杜山さんは「ごめんね」と一言謝った。
「…いえ、こっちこそ…」
わたしはそう言って、濡らしてきたタオルを固く絞って杜山さんに手渡した。
「…わたしね、正直言って噂のことなんてそんなに気にしてないんだよ」
「…え」
「…橘さんを無視しないと、周りから浮くと思って。…最低だよね、ごめんね、」
杜山さんがしたことを最低って思えない自分がいる。
…宝条社長と寝たことは、変わらない事実なんだから。
「……わたし!もう、杜山さんに対しても怒ったりしてませんから!」
そう言って立ち上がると、杜山さんは驚いたような顔をしてた。
「だから!…仲直りしませんか」
「…!」
杜山さんは泣き腫らした目をまた潤ませて、
小さく頷いた。