うちの社長が酷すぎる!
第9章 波乱
「…………」
社長はわたしの言葉の続きを待ってるようで、首を傾げた。
「なんだ、言いたいことって」
「あ、いや、はは…ところで彼は…」
ああ、と社長が‘自分の目の前に立つ人’を見やる
「先に紹介すっか。今日付けでここに転勤してきた、武藤雄飛だ」
そう、だった
今日だった。雄飛が転勤してくるのは。
雄飛はわたしを見るとすぐに笑顔になった。
「稀乃!」
「雄飛……そうだよね、今日だったね」
わたし達の反応を見て、宝条社長の笑顔が固まる。
「…知り合いか?」
わたしは、社長にバレちゃいけないと思った。
ただなんとなく、直感で。
雄飛と目配せしようと雄飛を見ると、雄飛は真っ直ぐ社長を見据えていた。
「…はい!前に同じ職場でした!交際させていただいています!」