うちの社長が酷すぎる!
第10章 見せかけの愛
時間が止まったような感覚がした。
「………は、え、」
「俺と付き合え…2回も言わせんな」
信じられなかった。
あんなに俺様な社長が、わたしに気を使ったかと思ったら、付き合え、って…
告白!?
「ちょ…っなんで今なんですか!」
「あ?俺が言いたかったからだ」
そんな俺様な……
わたしは、頷いてしまいたかった
でもここで頷いたら、わたしは雄飛に隠れて浮気をするか全てを話して嫌われて別れるかのどちらかをとらなければいけない。
「…ごめんなさい、あの、わたし…」
「…」
雄飛が、雄飛が、雄飛が。
頭の中に雄飛の顔がたくさん浮かんでは消えていく
「しゃちょ…」
「もういい」
え、とかすれた声が出た。
「…困らせて悪かった、もういい」
そう言うと社長は無言で車をバックさせた。
わたしも慌ててシートベルトをつける。
「………」
無言のまま車を走らせる社長。
わたしは社長の顔を見ることができないまま
(…これでよかったのかな)
窓の外を眺めるふりをして潤んだ瞳を隠した。