うちの社長が酷すぎる!
第10章 見せかけの愛
ーわたしたちの恋は、周りから見ればきっと理想的だった。
かっこよくて包容力のある、スポーツ万能な優しい雄飛。
成績は頑張って、学年トップを貫いていて告白された回数もわりと多い方だったわたし。
そんなふたりが付き合ったとなると、雄飛のことを好きだった人もわたしのことを好きだった人も諦めざるを得なかったらしかった
わたしたちが初めて会話をしたのは、高校の文化祭の後夜祭のときで。
キャンプファイヤーを友達の輪に入りながらぼーっと眺めていたら、雄飛に声をかけられた。
当時のわたしは恋に興味がなくて、周りが歓声をあげているのもどこか他人事のように思えた。
でも、顔を赤くしながらせいいっぱいにわたしに一目惚れを伝えようとする雄飛を見て、他の人に対してとは違う感情を持った。
そして、それはいつか恋になって、わたしは雄飛の告白を受けた。
付き合ったことは瞬く間に学校中に知れ渡り、お互いの親にも好印象で、高校の先生達にも認められて、順風満帆だった。
でも、付き合って1年経たないあいだにわたしの雄飛に対する違和感は募っていた。
‘自分は間違ってない’というどうしようもない固定的な考え方の雄飛を知ってしまった。
根付いてきたものならわたしが変えようにも変えられず、今のところデートDVなるものもされていないことから、わたしは雄飛に従うようになった。
でも心のどこかではおかしいと思っていたんだと思う。
でもわたしはそれでも雄飛と離れようと思わなかった。
理想的な恋人だったから。