うちの社長が酷すぎる!
第10章 見せかけの愛
雄飛とわかれて家に帰る。
「ただいまー」
靴を脱ぎながら家誰もいないの中に声をかける
寂しさを紛らわすための日課。
これだけはずっと続けている。
夕飯を食べ、お風呂に入り、飲み物を手に取ってテレビをつける。
「ふぅ…」
この時間が1番落ち着く。
…1番最初に思い出すのは、雄飛ではなく、社長のこと。
社長のことを考えると、胸が少し締め付けられる。
最後に見せた、いつものような自信に溢れた顔じゃない、切ない表情。
わたしの決断、いつも人を傷つけてばかりだ…
「…自分がいやだな…もう…」
ため息をついて、曲げたひざに額を押し付けた。
ピンポン、と控えめなチャイムが鳴る。
ゆっくり顔をあげる。
「…うちのチャイム…?」
立ち上がり、ドアの付近まで行く。
覗き穴から覗くと、久しぶりな顔があった。