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うちの社長が酷すぎる!

第4章 知ってしまった


「お、上がったか」
「はぃ…ありがとうございました……」

洗面所でキスマークと奮闘しておよそ10分。
まったく消えない跡に匙を投げた私が取ったのは…ありきたりだけど絆創膏。
たまたまバッグに入っていたポーチにあって、そのときだけ自分の行動を素直に褒められた。

「……?怪我、したのか」
「え?あっ………」

ヒカルさんの細い指が私の首元に触れる。
絆創膏越しでも分かる体温。そしてその手つきの優しさにドキッとした。

…ん?なに、ドキッて。私には雄飛がいるし(ていうかそれに宝条社長と浮気もしちゃったし)!

「…あー、そうだそうだ」

ヒカルさんは私に背を向けてクローゼットを豪快に開けた。
…中身を晒せる勇気があることに驚きながら後ろから覗き込む。

「お前さ、今……ほら下履いてねーだろ。」
「へ?…あ、はい…」

そうだった…!
思い出してTシャツの裾を少し下に引っ張る。

「ーあった。ほら、これ履けよ」

Tシャツの時と違ってちゃんと手渡されたのは…半ズボン。

「ゆっるいかもだけどなにも履かねーよりマシだろ」
「すみません、ほんとに…なにからなにまで」

されてばかりの自分に嫌気がさして、少し肩を下げる。「ほんとだよバーカ!!」とか言われそうで体をこわばらせた。

「あ?別にいーよ。変に気負うな」

言われた言葉は思っていたよりも遥かに優しくて、身体の緊張が一気に解れた。

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