うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
「…あ、そういえば私今日何処行くのか全くわかんないんですけど任せちゃってOKなやつですよね?」
どこに行くのか分からないからお金だってそんなに持ってきてないし。
「あぁ、俺が勝手に連れ回すだけだから安心しろ」
「全くもって安心できないんですけど!?」
思わずつっこむと、ヒカルさんは「ナイスツッコミ!!」と笑顔になった。
…雄飛のときとはまた違って、楽しいかも。
そう思ったら、ヒカルさんは私の顔をのぞきこんだ。
「えっうわぁ!?な、な、なんですか」
「いや…今お前自分の彼氏の時と比べてただろ」
ぎく。ばれてる。
「…まぁ、はい……」
「やっぱりな。」
ため息混じりに言われて項垂れる。
…確かに、感じ悪かったかな?
「…ごめんなさ…ーいでっ」
「辛気臭い顔すんな謝んな!今日は彼氏のこと忘れるくらいに楽しませてやるよ」
ヒカルさんに手を引かれて歩く。
…私、この人のこういうとこ好きだなあ。
そう感じながら口元に浮かんだ笑みに気づかず、私は手を引かれたまま歩き続けた。