うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
その日の外出はとても楽しくて。
街に行って雑貨屋さんを見て回ったり、カラオケでデュエットしてみたり。
ヒカルさんは意外と歌が上手くて、でも雑貨や服などのセンスは致命的に無くて…
初めて知ることばかりで、沢山笑った。
「そろそろ夕食の時間ですね〜!何食べます?」
「ん?あー…もう6時か。予約してある店があるから、行くぞ」
え、予約?
予約必要なお店なんて、絶対高いとこだよね…?
私、所持金あと2000円なのに!?
「え、え、でもお金そんなに持ってきてなー…」
「…俺が勝手に予約したんだから、払わせろよそのくらい」
ヒカルさんは少し頬を膨らませた。「…今日だって、「奢ってください!」とか言うかと思っていつもより多めに持ってきたのに何も買わせねーし……」
「え、え、でもそんな…」
「迷惑じゃねーんだから、これくらい奢らせろ馬鹿」
馬鹿、って…
…きっとこれも、この人なりの優しさなんだろうな…
「…分かりました、奢られます」
「よし、それでいい」
そう言って笑いあった。