
うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
高そうな椅子に座り、ため息をこぼす。
「ふうぅ……緊張した…!」
「?緊張するとこなんかあったか?」
ヒカルさんはさも当然のように首をかしげた。
「そりゃ…普段こんなお店来ないですもん。高そうでちょっと緊張してて……メニューとかないんですか?」
「そうなのか?派手な格好してこういうとこに来てそうだけどな、イメージは。あ、ここはコース料理だから気にすんな」
あ、はい……と気が抜ける返事をして、ふと外を見る。
「わあ……!夜景が…!」
「綺麗だろ?よろこぶかと思って」
言い方が、まるで私のため、と言ってるように聞こえて、嬉しくなる。
「…ありがとうございます。凄く綺麗……」
「写真、撮らなくていいのか?」
「携帯開くより、話しながらこの風景を覚えた方がよっぽどいいと思いません?」
顔を見ながら言うと、ヒカルさんは笑って言った。「…それもそうだな」
