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シロタさんとクロノさん

第2章 二人はナイト

「あっ…そういえば、クロノさんの上着持ってくるの忘れてましたっ…」

私は慌ててクロノさんの上着を取りに戻りました。恥ずかしかったというのもあります。

クロノさんの上着を持ってきたあと、私たちは近所のスーパーに向かって歩き始めました。

「暑いな」

太陽は容赦なく、私たちを照らします。
クロノさんが長袖のシャツの袖を少し捲りました。

そういえばお二人とも、スーツなんですよね。
普段からその格好なんでしょうか?
クロノさんは全身黒だから余計に暑そうです。

「…」

それにしてもこうやって歩いていると、お二人ともモデルさんみたいです。
だからさっきから周りからすごく視線を感じて…。

「ん、どうしたの? かのんちゃん」

「い、いえっ…」

こんな場面を知り合いに見られたら、なんて説明すればいいのか…。

「あら、かのんちゃん。その方たちはどなた?」

「!」

早速近所のおばさんです。
しかも近所で一番お喋りな…。

「こんにちは、水野さん。えっと…」

私が言葉に詰まってると、

「はじめまして。いつもかのんがお世話になっております」

シロタさんが挨拶をしてくれました。

「僕たちはかのんの遠縁にあたるものでして、今回心配なので様子を見に来たんです」

「あら、そうなの。どこぞの御曹司かと思ったわ」

シロタさんが見せる笑顔に、水野さんはニコニコしながら答えました。

「水野さんにはご迷惑をおかけしますが、これからもかのんのこと、どうぞよろしくお願いします」

「あらあら、いいのよ~。かのんちゃん、良かったら今度うちに遊びにいらっしゃいね。え~と…」

水野さんはシロタさんたちの方をチラッと見ました。

「シロタとクロノです」

「シロタさんとクロノさんと一緒に、ねっ」

「あ、はいっ」

水野さんはなんの疑いもなく去っていきました。
明日から近所中に知れ渡ってそうですが…。

「やっぱりスーツは目立つかな」

「白スーツなんて新郎かよって」

クロノさんのツッコミに、私はプッと笑ってしまいました。


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