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シロタさんとクロノさん

第2章 二人はナイト

「え、かのんちゃんの婚約者になれるなら、オレはいつでも喜んで着るけど?」

「え…」

シロタさんが悪戯に微笑みました。

「…っ」

冗談…ですよね?
私はいちいちドキドキしてしまいます。

「アホなこと言ってないで行くぞ」

クロノさんが歩き始めました。

「かのんちゃん、行こ」

「は、はいっ…」

なんとなくお二人の性格がわかってきました。
もしかしてシロタさんは誰にでもこんな感じなのかな…。


******


スーパーでクロノさんの上着をクリーニングに出して食材を買った後、少し雲行きが怪しくなってきたので急いで岩崎家に戻ると、ちょうど雨が降ってきました。

「降られる前に帰ってこれて良かったね」

「そうですね……あっ!洗濯物っ!」

うっかりしてました。
まだ庭に干しっぱなしに…

「かのん。洗濯物、どこに置けばいい?」

いつのまに取りに行ったのか、クロノさんが庭に干していた私の洗濯物を持ってきてくれました。

「あ、ありがとうございま…」

でもその中には私の下着が…!

「きゃ~!」

私は慌てて奪い取り、自分の部屋へ走りました。
そして慌てて下着をタンスにしまいました。
雨に濡れなくて良かったけど、これは恥ずかしすぎます!

「…はあっ…」

クロノさんは良かれと思ってしてくれたんでしょうけど、こんな恥ずかしい思いをするなら濡れてた方がマシです、なんて思ってしまった私は最低でしょうか…。

「お母さん…やっぱり一緒に住むなんて無理だよ…」

母は気にしない性格かもしれないけど、私は気にするんです!

心の中で母に文句を言ったあと、私はキッチンに戻りました。
キッチンにはクロノさんの姿はなく、エプロンを着けたシロタさんが野菜を切っていました。

「かのんちゃん、お皿出してもらえるかな?」

「あ、はいっ…」

私はシロタさんをチラチラ気にしながら棚からお皿を出しました。
シロタさんには見られてないですよね…?

「~♪」

気を使ってくれているのか、シロタさんは鼻唄を歌いながら野菜を切っています。


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