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Everyday Love

第10章 Starlight【白黄】



ジャスミンの手を引いて、まっすぐデカベースの屋上に向かうテツ。
屋上には特に誰かが出入りしている様子はない。
たまにデカレンジャーのメンバーが自主練や休憩に使っているという噂を聞いたことはあるがジャスミンは屋上には来たことがなかった。
されるがままのジャスミンは手馴れた様子で屋上のドアを開けるテツを心配そうに見つめていたがドアが開き、目の前に飛び込んできた光景を見た瞬間、歓喜の声を上げた。
雲一つない空に星の光が無数に浮かんでいる。
とても現代の夜空とは思えないほどの美しさだった。

「えぇ…すごい…」

そのセリフは誰に言うわけでもなく、無意識に自然と出た声という感じで作られたものでは無かった。
そのセリフを聞き、テツは自慢げに笑う。

「でしょう?デカベースの屋上から見る夜景は絶品なんですよ」
「テツはなんで…?」
「いやぁ、たまたま夜に屋上に行ったらですね?こんな景色が広がってたんですよ!!これは茉莉花さんに見せるしかないでしょ!!」

「ねっ?」と夜景に負けないぐらいの笑顔のテツにジャスミンも釣られて笑った。

「あ…笑いましたね?」
「えっ?」
「最近、ずっと辛そうだったから…何かあったのかなぁって。」

テツの言葉にジャスミンは最近の自分を思い返す。
確かにテツの言う通り、ここ最近のジャスミンは元気がなかった。
特に仕事で失敗したわけでもなく、プライベートでなにか嫌なことがあったわけでもない。
ただ、終わりの見えないアリエナイザーとの戦いにときどき先が不安になるのだ。
この世から犯罪は決して消えない。そして、犯罪が消えない限り自分たちデカレンジャーは戦い続ける。
それがどうしようもなく怖くなるときがある。
そんな思いをジャスミンは感じていた。



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