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今夜も君をオカズにする

第3章 文芸部Ⅱ

そのままその手が動かない

「これ、使ってくれた?」

ぱらり、右手で器用にページがめくられる

「え…?」

お互いの動きが一瞬止まる

ジオラマのような、変な一場面

「い、いえ、結局使わなかったです」

嘘は言ってない

「そう…」

声のトーンに少し残念さが残る

「これ、私のお気に入りなの…

この汚れ具合

愛液の付き方

私の恥ずかしいシミ…

だから、あげる」

きゅっ、とてのひらにリアクションという名の軽い反発

持っていこうとしていた彼女の左手が

僕の右手に力をかける

ほんの数グラム

そんなくらいの微小な変化

その手を拒否する方法を

僕は知らない

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