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僕らの歪な経験値

第5章 稽える

智 side







きれいだな。



そう言うと櫻井くんが、あなたの方がきれいだよって冗談で言ってきて。



俺も負けじと、いやいやあなたの方がきれいよ!って言ったら笑ったんだ、櫻井くんが。



その時のこと覚えてる。



心臓が飛び跳ねた。



笑顔なんていつも見てるのに、夕日がその笑顔を照らしてる。



輝いて見える笑顔に見惚れてると急にキスされた。



学校だよ、と言うと、そうだな、って。



すると抱きしめられた。



ちょっと!



今、胸が高鳴ってるんですけど!



ドキが胸胸なんですけど!



なんだろ、この気持ち。







どうか、このドキドキが伝わりませんように。



はやくこの時間が終わるようにと。



強く願った。
















智「ある人を見るとドキドキするんですけど!」



ニ「はえ?」



ニノはピコピコしてたゲーム機から顔を上げて俺に驚いた顔をしてきた。



智「死んでる!死んでる!」



ゲームを指さすとニノは慌ててゲームを再びやりだし、当たり前のように持ち直してた。







ニ「恋の悩みってやつ?」



ゲームを一段落させて俺の話を聞いてくれた。



優しいぜ。



智「恋なのかなあ」



ドキドキしだしたの最近だよ?



恋と言ってしまうのは早いのでは。



時期尚早なのでは。



ニ「四文字熟語、使いたがらないでもらえます?」



ばれた?



ニ「だってドキドキすんでしょ?」



智「ドキドキする」







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