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僕らの歪な経験値

第6章 好る

智 side







翔「どこで聞いたんだよ」



俺の涙を見て翔の声は落ち着いた。



男でも涙が武器になるんだな。






智「いつも使ってる教室。誰かと話してた」



翔は黙って俺の話を聞いてた。



箱ティッシュを取ってくれた。



それで涙を拭いた。



翔自分の涙、拭いてた。






あの日、あったこと。



翔が女の子の良い所をたくさん挙げていた。



俺はそれを教室の外で聞いてたんだ。



すごくショックで思わず聞いてないフリをした。



翔「そんなの。恋愛の相談されたからだよ」



智「それでも!……それでも辛かった!」



相談を受けてるのかな、とは考えたんだ。



翔は頼りがいがあるから。



智「いつか、…いつか女の子の方がいいって言われるんじゃないかって、不安だった…」



涙が後から後から出てくる。



俺こんなに女々しかったっけ?



智「そうなったら辛いから、ニノにキスしたんだ…」



自分の気持ち知りたかったから。



翔「意味わかんねえ」



智「お、男が好きなのかって思って。だから、なんて言うか…確認作業…」



翔くんは俺の顔を見て鼻で笑った。



翔「俺が女の子の方がいいって言われるかもしれないから、俺が好きなのか男が好きなのか確かめるために二宮にキスしたってこと?」



智「そう!それ!翔、頭いい!」







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