硝子の指輪
第2章 隙間から除く谷間
何杯の酒を飲んだのか俺もさっぱり覚えていない。ただ記憶がちょっとだけある様なもので。
「んふふふ〜…眠いなぁ…」
「橋田ちゃん、歩かないと帰れないよ?」
「泊まる」
「……どこで?」
指を指した所はたくさんの愛の巣を育てるあの場所。
要するにラブホテルだったのだ。
「……えぇ?」
「うっ……っ……」
「は、橋田ちゃん?!は、は、吐くなああ!!」
結局、彼女の細い腰を支えてすぐそこのラブホテルまで歩いた。休憩、と思って。
「はあー!!疲れたあ!!」
疲れたのはこっちだぞ、橋田ちゃん。と言いたいがまあ、今日は残業してたんだし、頑張ってたな。
「先輩も寝ましょう!」
目を瞑った状態で元気なグッドポーズ。飲むと変わるもんだなあ。
「…橋田ちゃん、スーツ脱ごっか」
「…うん」
敬語がだんだんと抜けていく。ほんとに可愛らしい後輩…。
…段々後輩だけとは感じなくなってきているが。