硝子の指輪
第3章 劣情と苛立ち
「あ。橋田ちゃん顔真っ赤」
ちょっとニンマリ笑う道島くん。恥ずかしさがどんどんと増していく。
「ふ〜ん…」
面白いと思って私を見て、先輩の顔にも目がいく。
「おふたりって結婚してたってことですよね!気づけなくてすみません!…でもさあ」
私達は固まる。
違うはずなのに、誰も否定しない。
「なんで、橋田ちゃん指輪付けてないの?」
「やっ…、結婚なんかしてない…」
「え、ていうことは奥さんもいるのにそんなことするですか?先輩?」
「違う、この指輪は…」
先輩は自分の指を見てぎゅっと握った。
「妹からの指輪だ、結婚じゃない。……ただ、支配されてるだけだ」
急に冷たくなった空気に私達は生唾を飲むしかなかった。
だが
私は、ほっとしていた。