硝子の指輪
第3章 劣情と苛立ち
「…支配?っぷ!」
彼が吹き出し、少し場が和む。
「そんなことされてるんですか?脅迫?怖い妹ですね〜」
そういうと先輩から私を引き剥がし、
「その指輪、外せないんですよね?それならいっそ妹さんと結婚したらどうですか?」
「ちょ、道島くん?!」
先輩も何か言いたげだ。だが、声が出てこない。
「妹さん、大事な人でしょ?」
やめて。知ってる。分かってるけど。
「……大事な人だ」
「じゃあ、俺が橋田ちゃんを大事な人って言っても同じことになりますよね」
「……」
「ねえ、何話してるの?早く帰ろう……」
なんで画面がこんなに変になるんだ。彼の目が何でこんなに近いんだ。
そうか、キスされてるんだ。
先輩の前で。