硝子の指輪
第3章 劣情と苛立ち
「ん…っあ…」
彼は先輩の目の前で見せつけるかのように下を挟み込んだ。必死に抵抗しても、押さえつけられてるから全くと言っていいほど動かない。
「……ていうことでしょう?先輩」
笑顔で口紅のついた顔を先輩に向ける。
緩みきった唇から垂れる液体。
「道島」
「……ここ職場なんで暴力はだめですよ」
私は先輩の顔を見れない。
好きな人の前でキスなんか、嫌だもん。
「まあ、充分食べたんで、どうぞ。今日はもうおなかいっぱいです」
最後まで後味悪く消え去った。
「……」
「……」
「…ぎゅってして」
そう私が言うと戸惑いつつも包むようにぎゅってしてくれた。暖かくて気持ちよかった。
「顔が見たいな」
「だめです。今は…」
「じゃあ、キスがしたい」
「なっ…!も、もっとだめです…」
「要望答えてくれないの?」
頭をコクんとした。