テキストサイズ

硝子の指輪

第1章 厚い唇



「可愛い後輩」

としか思われてないんだろうな。悲しすぎる。

でも私ももし誰かと付き合ってたら先輩なんか好きじゃないのは当然だよなあ。

「ほらほら!そんな話してる場合じゃないんじゃないの?」

「ひぃ…絶対残業ですよ、これ…」

明日までの資料まとめやらなんやら沢山ありすぎてこれはすぐ定時に帰れるとは思えない。

「橋田ちゃん、終わればお酒飲みに行けるよ」

こそっと彼が言った。
そう言えば今日は私の大好きな金曜日。

「おごりでお願いしますね。そっこーやります」

にやりと私は笑って今迄にないほどの速さのタイピングを先輩に見せ付けた。




はずかしい、カッコつけだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ