硝子の指輪
第1章 厚い唇
「お、終わりました…」
結局簡単に行く訳がなくて、先輩にも手伝ってもらってしまった。情けない…。
「おっけ〜お疲れ様!さ、行くぞ」
スーツをサッと直し、私の方に向いた。
あーやっぱり変わらずイケメン。何時間たっても変わらない。私の中の王子様。
な彼とお酒を共に飲むことはよくあるけれど、意識しているのは私だけ。
「いつものところでいいか?」
「はい!早く梅酒を飲みたい」
「ほんと好きだな!俺は生がいいな〜」
こんな会話が普通なのだ。
楽しい。
好きが溢れていく。
けどいつでも光り続けるあの指輪。
私の愛を邪魔する指輪。
私が壊せたらいいのに…。
……
…